「これでハヤコ(女将)も、アラドで貝でも拾うちょるわ。よう凪いじょう海で、喜こんじょうよ。」
穏やかな顔で、祖母が言った。
母と祖母は、容姿・性格・言動、全てがウリふたつで、「おばあちゃんと」と言うより、まるで老いた母と過ごしたような数日間。
磯へ行き貝を拾い、畑へ行き野菜を採り、その料理を一緒にして。
母が私に教えそびれたことを、必死に教えてくれているような、そんな時間だった。
祖母もそう思っていたのかもしれない。私の後半の呼ばれ方は「ハヤコ」だった。
母にそっくりな表情をして、そっくりな口調で、別れ際祖母は言った。
「あんたが、お母ちゃんの犠牲になることないけんね。たろーば(色々)考えても、自分がつらいだけ損やき。あんたは、あんたのしたいようにし。」
ようやく喪が明けた。。。