元・亀遊館の日々

野麦峠スキー場・民宿亀遊館の旧HPの日記

お山に帰って参りました。

祖母の部屋には、女将の娘時代の写真が飾られていた。

家の前の、女将が自分の庭のようにして遊んだアラドの浜に、

七回忌を前に、ようやく帰してあげられました。

「これでハヤコ(女将)も、アラドで貝でも拾うちょるわ。よう凪いじょう海で、喜こんじょうよ。」 穏やかな顔で、祖母が言った。 母と祖母は、容姿・性格・言動、全てがウリふたつで、「おばあちゃんと」と言うより、まるで老いた母と過ごしたような数日間。 磯へ行き貝を拾い、畑へ行き野菜を採り、その料理を一緒にして。 母が私に教えそびれたことを、必死に教えてくれているような、そんな時間だった。 祖母もそう思っていたのかもしれない。私の後半の呼ばれ方は「ハヤコ」だった。 母にそっくりな表情をして、そっくりな口調で、別れ際祖母は言った。 「あんたが、お母ちゃんの犠牲になることないけんね。たろーば(色々)考えても、自分がつらいだけ損やき。あんたは、あんたのしたいようにし。」 ようやく喪が明けた。。。