元・亀遊館の日々

野麦峠スキー場・民宿亀遊館の旧HPの日記

● お山のガーデン。

ヤマエンゴサク。

淡い青~淡い紫の可愛い花。

いっぱい。

昨年の秋頃だったかな・・・俳優の緒方拳の遺作としても注目された、倉本聰の「風のガーデン」というドラマがありました。内容は、「末期ガンのお医者さんが、絶縁していた家族の元へ帰り、静かな最期を迎える」というもの。ストーリー自体は前評判ほどには、面白くなかったな・・・というのが私の正直な感想ですが、この中で花々が象徴的に使われています。 特に、主人公の娘が一番好きだった花が「エゾエンゴサク」。主役の中井貴一が、その球根を山の中から掘り出して、自分のいた場所の周りに植える。彼が亡くなり、春になって、娘がその場所に一面にエゾエンゴサクの花が咲いているのを見付ける。というのが最後のシーン。 写真のヤマエンゴサクは、この花の親戚です。 もともとエンゴサク(延胡索)は、ケシ科の薬草。春を呼ぶ花とも言われ、鎮痛作用が高く、心痛や気の滞りを治すのにも使われるらしい。倉本聰が、家族の絆と死との向き合い方を書いた物語で、この植物を象徴的に使ったのは、その辺りの事情もあるかなぁ・・・と。勝手な解釈ですが。 この花のきれいな青は、なんとなく、絶望ではない、清々しい死を思わせる色でもあるような気がします。